ヴィオラ・ダ・ガンバの魅力 (2018.11.18 終了)
主催:佐保山茶論 後援:奈良市・日本ヴィオラ・ダ・ガンバ協会
ヴィオラ・ダ・ガンバ 福沢 宏
使用した楽器
Treble Gamba:François Bodart 2000 Belgium
Alto Gamba:Arnold Dolmetsch c.1920 England
Tenor Gamba:François Bodart 2003 Belgium
Bass Gamba:Anonymous c.1750 Germany
Bass Gamba:Eugen Sprenger 1936 Germany
Bass Gamba:Wang Zhi Ming 2009 China
Cembalo:Eizo Hori堀栄蔵 1997 Japan
繊細な音楽性、抜きんでた技術と知性で日本を代表するヴィオラ・ダ・ガンバ奏者福沢宏が厚く信頼を寄せ共演を重ねている実力派チェンバロ奏者山縣万里と共演。
ヴィオラ・ダ・ガンバと言えば、一見チェロに似た低音楽器と思われるでしょう。しかしこの楽器にはトレブル(高音)、アルト、テナー、バスといった異なるサイズがある事はあまり知られていません。
第1部ではこれらの楽器による様々な音色を、そして第2部ではドイツとフランスを代表する二人の作曲家、バッハとマレの音楽をお楽しみいただきました。
お客様のご感想(アンケートより)
●自然に囲まれた茶論で身近に演奏が聴けて贅沢な時間をもてて良かった。ヴィオラ・ダ・ガンバを初めて聴きましたがどの曲も優しく語りかけるよう。一番心をゆさぶられたのはトレブルによるイタリアングラウンドによる変奏曲。これからもずうっと聴いていたい音楽です。●トレブルの音色が美しかった。7弦のヴィオラ・ダ・ガンバは強烈な印象でした。ヴィオラ・ダ・ガンバの種々の楽器を聴けて大変良かった。会場の大きさに適合したコンサートでした。楽しかったです。チェンバロ、シャープでした。
●ガンバの音色の違いも楽しめて良かった。古いガンバの熟成した枯れた音は魅力的です。
●福沢宏、山縣万里両先生の世界に只々引き寄せられました。ヴィオラ・ダ・ガンバの音色、チェンバロの音世界に一音、一音大切に大切に演奏されるお二人の世界を素晴らしい佐保山茶論でご紹介頂けました事嬉しく至宝の一時でした。ありがとうございました。合掌。
●身近で聴けて低音の音の迫力が良かった。トレブルガンバのやさしい音を聴いていて心安らぎました。初めての曲ばかりでしたがつかの間の安らぎを与えて下さいました。ありがとうございます。
●ガンバやチェンバロの説明がありよく分かって良かったです。古のものと言っておられた7弦のガンバも聴けて良かったです。チェンバロソロもあり、思っていたより柔らかい音でチェンバロにもいろいろ種類があるのを知りました。
●いい季節の日曜日の午後、ヴィオラ・ダ・ガンバの演奏会で3時間(1部&2部)もいい演奏を聴きながら過ごすことが出来てとても良かったです。ガンバの種類が実際に見られて良かった。意外と音量を大きく感じた。季節、建物のたたずまい、お庭が素晴らしかった。心が安まりました。
●トレブルガンバの音が特に気に入りました。ヴァイオリンよりもふくよかでヴァイオリンがテクニックバリバリの若手歌手だとするとテナーガンバは若い頃ほどにはテクニックを発揮出来ないけれどそれを補って余りある人生経験の豊かさを持つ妙齢のベテラン歌手のようです。山縣さんのチェンバロも素晴らしいです。目をつむって聴いていると織物の職人がタテ糸とヨコ糸を自在に操って見事な絵巻物を織り上げていくその姿がまざまざと見えるような見事な演奏です。なぜこのような素晴らしい楽器がピアノにその座を明渡さねばならなかったのか不思議です。アンコールの優雅なロンド(アラン・マレ)は涙が出ました。
●(曲の演奏時間が)長すぎず短すぎず素晴らしかった。室内音楽をこんなに間近でうっとり聴いたのは初めてであり、一つ一つの音が心にしみた。
●とても音響が良かった。
●チェンバロの響きの美しさにビックリ。
●音響、雰囲気が良かった。会場の雰囲気が曲に合っていてとてもすてきでした。
●会場と音楽がマッチしているのが良かった。1階のステージ直前の席と2階席の音の違いを楽しめた。
●2階席でとても良かったです。古楽をやるのにぴったりの場所だと思います。
●熱演すばらしかったです。ありがとうございました。
●音楽と演奏と会場が良かった。響きが良くすてきな会場で演奏がひきたちました。とてもよかったです。
●演奏者、選曲が良かった。充実した企画と内容で楽しい時間を過ごさせて頂きました。
●心が洗われる演奏、本当にすばらしい演奏でした。サロンもすばらしいです。
●楽器の故か、静かな音楽会でした。2階席の音が段違いに良かった。
●とても会場が良かったです。(ガンバとチェンバロの両方共)すごくきれいな良い音がしていました。チェンバロがカッコイイ。1750年のガンバがすごい良い音でなっていた。
●以前からヴィオールの実際の音を聴きたかった。
●どの曲も素晴らしかったです。酔いしれました。インベンションはほんとうに美しい曲だとあらためて思いました。1700年代の音色も聴かせていただきありがとうございました。
◇プログラム
第1部 <ヴィオラ・ダ・ガンバさまざま>
◆ D.オルティス Diego Ortiz(c.1510-c.1570)
レセルカーダ第8番 第5番 第2番 (B)
◆ R.カー Robert Carr(17c.)
イタリアングラウンドによる変奏曲 (Tr)
◆ 作者不詳 Anonimous(17c.)
グラウンドによる変奏曲 (Tr)
◆ 作者不詳 Anonimous
グリーンスリーヴスによる変奏曲 (At)
◆ J.H.ダングルベール Jean-Henri d’anglebert(1635-1691)
パッサカーユ ト短調(チェンバロソロ)
◆ N.シェドヴィーユ Nicolas Chédeville(1705-1782)
ソナタ ト短調 Vivace / Alla Breve / Largo / Allegro ma non presto (Tn)
◆ K.F.アーベル Karl Friedrich Abel(1723-1787)
無伴奏ソナタ ト長調 Adagio / Allegro / Minuet (B)
◆ G.Ph.テレマン Georg Philipp Telemann(1681-1767)
ソナタ イ短調 Largo / Allegro / Soave / Allegro (B)
[使用楽器]
トレブル(Tr):François Bodart 2000 Belgium
アルト(At):Arnold Dolmetsch c.1920 England
テノール(Tn):François Bodart 2003 Belgium
バス(B):Eugen Sprenger 1936 Germany
チェンバロ:Eizo Hori 堀栄蔵 1997 Japan
第2部 <後期バロックの巨匠、バッハとマレ>
◆ J.S.バッハ Johann Sebastian Bach(1685-1750)
− テノールガンバとチェンバロのためのソナタ ヘ長調
(原曲:オルガンソナタ 変ホ長調 BWV 525)(Vivace) / Adagio / Allegro
− 無伴奏組曲 ト長調(チェロ組曲 ト長調 BWV1007)より
Allemande / Courante
− ガンバとチェンバロのためのソナタ第1番 ト長調 BWV 1027
Adagio / Allegro ma non tanto / Andante / Allegro moderato
◆ G.フレスコバルディ Girolamo Frescobaldi(1583-1643)
フォリアによるパルティータ (チェンバロソロ)
◆ M.マレ Marin Marais(1656-1728)
− 組曲 ト長調「ヴィオル曲集第3巻」より
Prélude / Allemande-Double / Courante / Sarabande / Gigue
− スペインのフォリア Folies d’Espagne
[使用楽器]
テノールガンバ:François Bodart 2003 Belgium
7弦バスガンバ:Anonymous c.1750 Germany
7弦バスガンバ:Wang Zhi Ming 2009 China
チェンバロ:Eizo Hori 堀栄蔵 1997 Japan
◇プロフィール
福沢 宏 Hiroshi Fukuzawa (ヴィオラ・ダ・ガンバ / Viola da gamba)
オランダのデン・ハーグ王立音楽院をソリスト・ディプロマを得て卒業。ヴィオラ・ダ・ガンバをヴィーラント・クイケン、室内楽をシギスヴァルト・クイケン、バルトルド・クイケンの各氏に師事。在学中より数々の室内楽のメンバーとしてオランダ、ドイツを中心にヨーロッパ各地で演奏活動を行った。帰国後はソロ・リサイタル他、古楽関係の音楽祭やサイトウ・キネン・フェスティバル、NHK・FMリサイタル、名曲リサイタルなどに出演。またバッハ・コレギウム・ジャパンによる演奏会、レコーディングに数多く参加するなど、全国各地で多彩な活動を行っている。フォンテックよりCD「マラン・マレ/ヴィオル曲集第3巻」(2015年レコード芸術誌特選盤)をリリース。東京藝術大学、東海大学非常勤講師。
http://hiroshifukuzawa.web.fc2.com/concert.html
山縣 万里 Mari Yamagata(チェンバロ/ Cembalo)
東京藝術大学音楽学部楽理科を卒業後、同器楽科チェンバロ専攻へ進学、在学中に安宅賞、卒業時にアカンサス音楽賞を受賞。同大学院修士課程チェンバロ専攻を修了後、ソリスト・通奏低音奏者として活動を続ける。ソロの演奏会シリーズ《ひとり琴》を毎年開催。様々なオーケストラやアンサンブルの公演にチェンバロおよびオルガン奏者として参加するかたわら、主宰するアンサンブル《Duo Maris》《通奏低音組合 Continuo Guild》、クラシックからジャズやタンゴまで多彩なレパートリーを誇る《アンサンブル・エスプレッソ》、和楽器奏者とのコラボレーション企画など、幅広い演奏活動を積極的に行っている。https://magatamary.jimdo.com
◇福沢 宏ソロCD
「マラン・マレ/ヴィオル曲集第3巻」
福沢 宏(ヴィオラ・ダ・ガンバ)
武澤秀平(ヴィオラ・ダ・ガンバ)
野入志津子(リュート)
山縣万里(チェンバロ)
レコード芸術2015年5月号特選盤
◇ソロ活動とともに、信頼できるコンティヌオ奏者として国内外のアンサンブルに招かれて活動してきた福沢宏による、意欲的なマレ演奏が登場した。(中略)演奏は、沈思、内密さよりも、マレの残した楽譜をもとに、「優しく」、「強く」といった指示があればその対比を明確にし、また反復を省略して音楽の変化を浮き彫りにし、リュートを加えた低音によりリズムを際立たせ、自在であるとともに明快な音楽的造形を追求している。(中略)たとえばト長調組曲のアルマンド<ラ・マニフィク>とその変奏や、二長調組曲に含まれた内省的ではあるが、情緒に流れない<嘆き>は、こうしたアプローチがもたらした白眉の演奏だ。ソロが主張しながらアンサンブルとしても見事なマレを聴くことができる。(美山良夫 レコード芸術2015年5月号より)
2018,07,26, Thursday