ムジークフェストなら2013 実物で辿る鍵盤楽器の歴史 (2013.6.29/6.30 開催)
後援:奈良県・奈良市
ムジークフェストなら2013
実物で辿る鍵盤楽器の歴史
武久源造(ポルタティーフ・オルガン、クラヴィコード、ペダル・チェンバロ、ジルバーマンモデル・フォルテピアノ、オリジナル・スクエアピアノ)
山口眞理子(バロック・ヴァイオリン&ペダル・チェンバロ)


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※申し込みフォーム備考欄に予約される日及び人数をご記入下さい。
駐車場について:当日佐保山茶論より徒歩約2分のところにある柳生駐車場に20台駐車スペースをご用意しています。柳生駐車場の20台駐車スペースは、柳生駐車場の奥の突き当たり(山側)の左端から右端までです。柳生駐車場へのアクセスは、佐保山茶論アクセス地図をご覧下さい。地図にございます消防署の交差点を西に直進されるのが分かりやすいです。途中道幅がかなり狭くなりますが、極短い区間です。そこを通り抜けますと右側に柳生駐車場がございます。
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2013,05,18, Saturday
ムジークフェストなら2013 バロック時のヴァイオリン音楽の歴史を辿る (2013.6.16 開催)
後援:奈良県・奈良市
ムジークフェストなら2013
バロック時代のヴァイオリン音楽の歴史を辿る
桐山建志(バロック・ヴァイオリン)大塚直哉(イタリアン・チェンバロ)


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2013,04,26, Friday
風雅な午後 呈茶と西欧古楽 (2013.5.18 終了)
後援:奈良県・奈良市
16〜18世紀の西欧の音楽(西欧古楽)を当時の様式の楽器(繊細で美しい渋みある響きのヴィオラ・ダ・ガンバと繊細で華麗な響きのチェンバロ)の饗宴で野点による呈茶(抹茶・和菓子付き)と演奏会を楽しんでいただきました。
お客様のご感想
・昨日は素敵なひとときありがとうございました。私もマレが好きでした。バラエティー豊かなプログラムで楽しかったです。バッハは威厳がありますね。改めて感じました。わたしは茶道の心得なくてお点前見ているだけなのですが昨日は音楽のある空間のせいか、構えることなく所作の美しさだけに集中できました。貴重な体験でした。
・素敵×100の時間でした。日々仕事でカサカサになった心癒され潤いました。佐保山サロンで、野点、ガンバ、チェンバロ、こんな贅沢な時間を過ごせて幸せでした。
・心地良いひとときをありがとうございました。いろいろな作曲家のプログラムが楽しかったです。牧子さんのガンバも魅力的で、またお二人のデュオ聴きたいです。ぜひまた企画してください。
・新緑のお庭でのお点前、鳥の声、コンサート、優雅なひとときを過ごさせていただき感謝!しております。バッハは1楽章のテーマの旋律がクリアに響いてぐっとこちら側に入ってきたと思います。バッハは長いし構成複雑なので自分のものにするには時間がかかりますよね。さいしょのオルティスも面白い曲、マレも良かったです。
・風情ある会場で、ヴィオラ・ダ・ガンバの温かい音色にホッコリできました。
・ヴィオラ・ダ・ガンバの音色がとても心地よかったです。
・ヴィオラ・ダ・ガンバに足がついていないと初めて聞いて、確かに足大変そうなのに、まったく感じさせずに、優雅に奏でる姿は感動!
第1部 西欧古楽の調べでにのせての呈茶(抹茶・和菓子付き)
西欧古楽の調べが流れる中、立礼によるお点前。庭で野点。
客席は椅子席。
立礼(りゅうれい)
茶の湯で、点茶盤と称するテーブルに風炉釜(ふろかま)・水指(みずさし)を置き、椅子に腰掛けて行う点前。明治初め、裏千家が外国人客のために創案した。
呈茶監修 茶道裏千家 岡本宗成
お点前 茶道裏千家 岡本宗佳
ヴィオラ・ダ・ガンバ 上田牧子 チェンバロ 北畠奈美恵
和菓子は、奈良町にある「樫舎(かしや)」の「上生菓子〜季節のお菓子〜」。樫舎の主人喜多誠一郎氏は素材とその素材を生かした和菓子作りに徹底したこだわりを持つ創作和菓子職人。
樫舎HPはこちら
第2部 西欧古楽演奏会
ヴィオラ・ダ・ガンバ 上田牧子 チェンバロ 北畠奈美恵
(曲 目) D.オルティス:レセルカーダ/C.シンプソン:グラウンドによる変奏曲 ホ短調/M.マレ:ヴィオール組曲 第3巻より ニ長調/C.F.アーベル:無伴奏独奏曲/J.S.バッハ:ガンバソナタ 第3番 ト短調
演奏者プロフィール
上田牧子 (うえだ まきこ) [ヴィオラ・ダ・ガンバ]
大阪音楽大学作曲学科楽理(現音楽学)専攻卒。
在学中よりヴィオラ・ダ・ガンバと古楽アンサンブルを坂本利文氏に師事。関西を中心にソリスト、及びアンサンブル奏者として演奏、録音活動を行っている。≪オルティス・コンソート≫メンバー。≪ル・ティサージュ≫メンバー。日本ヴィオラ・ダ・ガンバ協会会員。大阪音楽大学非常勤講師。
北畠奈美恵 (きたばたけ なみえ) [チェンバロ]
北海道生まれ。宮城学院女子大学学芸学部ピアノ科卒、ピアノを遠藤安彦氏、古賀るい子氏に師事。チェンバロをウィリアムハイルス氏、中野振一郎氏、有賀のゆり氏に師事。ソロ、アンサンブル、通奏低音奏者として活動している。
使用楽器
ヴィオラ・ダ・ガンバ(Viola da Gamba)
ヴィオラ・ダ・ガンバ(Viola da Gamba)は、伊語で「脚にはさんで弾く擦弦楽器」のことを意味します。仏語ではヴィオール(Viole)、英語ではヴァイオル(Viol)と呼ばれています。ヴァイオリン族の古い親戚にあたり、15世紀から18世紀の終わりまで活躍していました。「脚ではさんで演奏する」以外には、弦がガット(羊腸弦)で6本〜7本あること、指版にフレットが半音刻みに巻いてあることなどが主な特徴です。
最も音域が低く、サイズの大きなバス・ガンバは独奏楽器として用いられるだけでなく、歌やリコーダの通奏低音としても大変重宝されました。また、サイズが小さく、高音域のトレブル・ガンバ、サイズ・音域ともに中間のテナー・ガンバなども加わり、バス・ガンバとともに同族による合奏もしばしば楽しまれていました。一組の楽器をそろえ持つことは当時の貴族のたしなみでもありました。ガンバの柔らかい響きや合奏の楽しみが、現代また注目されつつあります。
今回の演奏で使用されるバス(7弦)
トレブル、テナー、バス(6弦)、バス(7弦)
フレンチ・チェンバロ
ニコラブランシェ(パリ1660-1731)の設計図をもとに春山直岳氏が制作した二段鍵盤のフレンチスタイル。
2013,04,26, Friday
奈良・文学ぷろむなーど (2013.5.18 終了)
「奈良・文学ぷろむなーど」の趣旨
大和路に春の訪れを実感するとき、「水取りや瀬々のぬるみもこの日より」の句を口ずさみ、春たけなわになれば、名実ともに、桜の国の桜の名所である吉野山に、こぞの枝折の道をかえてまで分け入っては花を求め、歌書の情趣にひたり、悲しき軍書の跡を尋ねたくなります。
やがて、たたなずく青垣山にみずみずしい若葉の映える、美わしの五月ともなれば、「若葉して御目の雫ぬぐはゞや」との句に、天平の盛時を追想し、その後の盛衰と世の転換を、古社寺の今と昔に、またもろもろのみ仏のたたずまいにうかがおうとします。
秋、円(まろ)き柱の月かげに物思ふ人の歌を見出すころには、かつて錦繍の美を謳(うた)われた竜田川の、飛鳥川の渕瀬ならぬ変容の甚だしさを嘆き、斑鳩に遊んだ数多くの文人たちの詞章に感動します。
そして冬、太陽が二上山にほんの一時(ひととき)、一きわ赤く燃えてその光りを収めようとするとき、悲運に逝った皇子の悲愁とその姉の皇女の痛哭に胸をいため、自ずと古代の人々の葬送に深く思いを致します。
この試みは、古代から現代に至る文学のなかで、大和路にそのゆかりを尋ねようとするものです。
奈良・文学ぷろむなーど
第2回
第1部堀辰雄と大和路
お話し 鈴木昭一 藤村記念館(木曽馬籠)館長
第2部仏蘭西古楽の調べにのせての呈茶
― 立礼によるお点前、天候が良ければ庭で野点 ―
抹茶と和菓子付き
呈茶監修 茶道裏千家 岡本宗成
上田牧子 ヴィオラ・ダ・ガンバ 北畠奈美恵 チェンバロ
プロフィール
鈴木昭一(すずき しょういち)
1927年生まれ。大和郡山市在住。京都大学文学部文学科国文専攻卒業(1951年)。藤村記念館(木曽馬籠)館長(平成10年〜現在)、島崎藤村学会名誉会長、帝塚山短期大学名誉教授。著書「島崎藤村論」(桜楓社・昭和54年)、「『夜明け前』研究」(桜楓社・昭和62年)、「『夜明け前』論―史料と翻刻―」(桜楓社・平成6年)、「『夜明け前』探求―史料と翻刻―」(桜楓社・平成10年)、「島崎正樹(重寛)全歌集」(藤村記念館・平成19年)「『夜明け前』・『東方の門』研究―史料と翻刻―」(桜楓社・平成20年)、他。
上田牧子 (うえだ まきこ) [ヴィオラ・ダ・ガンバ]
大阪音楽大学作曲学科楽理(現音楽学)専攻卒。
在学中よりヴィオラ・ダ・ガンバと古楽アンサンブルを坂本利文氏に師事。関西を中心にソリスト、及びアンサンブル奏者として演奏、録音活動を行っている。≪オルティス・コンソート≫メンバー。≪ル・ティサージュ≫メンバー。日本ヴィオラ・ダ・ガンバ協会会員。大阪音楽大学非常勤講師。
北畠奈美恵 (きたばたけ なみえ) [チェンバロ]
北海道生まれ。宮城学院女子大学学芸学部ピアノ科卒、ピアノを遠藤安彦氏、古賀るい子氏に師事。チェンバロをウィリアムハイルス氏、中野振一郎氏、有賀のゆり氏に師事。ソロ、アンサンブル、通奏低音奏者として活動している。
2013,03,29, Friday
佐藤豊彦バロック・リュートリサイタル(2013.4.13&14 終了)
後援:奈良県・奈良市
リュート界に於ける世界の第一人者の佐藤豊彦がこの演奏会で使用したバロック・リュートは、1610年にローレンツ・グライフがドイツのインゴルシュタットで製作した現存する世界的でも稀な演奏可能なオリジナル・リュート「グライフ」。弦は「グライフ」が製作された当時同様、羊の腸を捩って作ったガット弦。
佐藤豊彦が演奏した曲
ルイ14世の宮廷リュート奏者
ロベール・ド・ヴィゼー(1660年頃-1720年以降)の作品
同時代にウィーンで活躍したリュート奏者
ヨハン・ゲオルク・ヴァイヒェンベルガー(1676年-1740年)の作品
■オリジナル・リュート「グライフ」によって今蘇る400年前の響き
元オランダ王立ハーグ音楽院教授 佐藤豊彦
「グライフ」は1610年にドイツで作られ、やはりドイツで1673年にフランス式のバロックリュートに改造された状態で今日まで残りまし た。その間に恐らく数人の高名なリュート奏者によって演奏されたに違いありません。しかし、18世紀半ばにリュート音楽が演奏されなくなって から20世紀末までドイツの貴族の館で眠っていました。オランダの製作家二コー・ファン・デア・ヴァールスの手で4年間掛かって1994年に修復された「グライフ」は、今日では非常に稀な演奏可能 なリュートとして、400年前の「まるで天から語りかけるような」美しい音色を再現したのです。もちろんそれに使われる弦は昔と同じガット弦 です。修復されたとは言え、非常に古い楽器ですから頻繁な旅行には耐えられません。従って、この美しい音色は今までは自宅(熊本県荒尾市の 「リュートの家」)と東京の近江楽堂でしか聞くことは出来ませんでした。今回初めて奈良の「佐保山茶論」においてもその音色が響くことになりました。
お客様のご感想(アンケートより)
●とても古いリュートということでもっとかそけき音量かと思っていました。平面的に歌うのではなく、立体的に語るオリジナル・リュート「グライフ」の音楽が実際にどういうものなのか少しわかった気がします。確かに一音一音の音色が違い、ドレミファーとか歌詞が聴こえてくるような演奏でした。トリルが凄かったです。ささやくようだったり、巻き舌のRの発音みたいだったり、とても素晴らしいコンサートありがとうございました。アンコールのお話しとバッハもとても良かったです。お茶のお話しもっと聞きたかったです。
●ド・ヴィゼーの作品良かったです。バスの歌わせ方楽しみました。ニュアンス、和声も心に残りました。舞曲がダンスより遅いのは参考になりました。
●思った通り最高の音楽、演奏でした。オリジナル・リュート「グライフ」は本当に素晴らしかったです。又是非聴きたいです。
●古楽器などをめぐるお話しはわかりやすく、茶室論も面白かった。ヴァイヒェンベルガー組曲ファ♯短調のサラバンド、組曲ソ長調のロンド風メヌエット、サラバンド、ジグが美しかった。
●お話しで理解も深まりました。異次元の世界を味わえました。外の風や緑の新芽が心に残りました。月の光(夜の演奏会)も味わってみたいです。
●和やかで気持ちよく上質な演奏会でした。生でしかもまれな楽器で聴けてうれしかったです。
●うっとりする音楽で、解説では歴史を語っていただき良かったです。ガット弦の魅力も堪能しました。
●16世紀に戻ったようなサロン的な雰囲気でバロックの澄んだ音色が限りないイメージを生み感動しました。
●とても良かったです。会場の大きさも雰囲気も素晴らしかったです。
●会場が楽器に合っていると思う。ルネサンス・リュートやヴィウサラなどルネサンス楽器もお願いします。
●リュートのチューニングの難しさがよく分かった。明るい曲は聴きやすかった。低音と高音のバランスが良く、聴いていて気持ちが良かった。
●美しい空間で生の音、自然の音を聴くことが出来ました。奥行き深さのある音の響きに心が洗われるような気がしました。素晴らしい心の旅が出来ました。ありがとうございました。
●繊細な音色を繊細な弾き方で聴かせていただきました。右手の奏法が複雑でギターに比べ大変だと思いました。
●バロック音楽の演奏会、リュートの演奏会は初めてでした。いわゆるモダン音楽が私の音楽を形づくっていたので、音楽の領域が一気に広がった感じです。ありがとうございました。
●リュートは初めて聴きました。色々な楽器がありますが、今日聴いたリュートは一番自然な音が出ている様に感じました。やはり弦がガット弦だからだと思いました。
●アットホームな雰囲気の中、典雅な演奏、そして曲の解説や歴史を聞けて良かった。ヴァイヘンベルガーを初めて聴きましたが、ヴァイスみたいで良かったです。
●初めてのリュートとの出会いでした。詩的な音のように感じられました。次回佐藤先生の奥様の山田千代美さんとのデュエットをお待ちしております。
●演奏の合間のお話しも面白かったです。琴に似ていると思いました。是非また佐藤先生の演奏を聴きたいです。ヴァイスの曲など。
佐保山茶論の庭にて。
書院の間での茶席。席主:岡本宗成 正客:佐藤豊彦
佐藤豊彦が到達した境地はこの瞬間にある。こうした境地を晩年のロベール・ド・ヴィゼーも求めたにちがいない。近年佐藤豊彦は音楽家のための禅茶道「楽禅古流」を編み出した。
「晩年にフランス式リュートの世界へ入ったド・ヴィゼーは、絢爛豪華なヴェルサイユ宮殿を去って生まれ故郷のヴィセウであたかも茶人か禅僧のような生活へ戻った。草木に囲まれ、川のせせらぎや鳥のさえずりの聞こえる静かな環境で、誰にも煩わされず、優しい音色のフランス式のリュートを弾くことに人生の満足を見つけたのだった。」(佐藤豊彦がオリジナル・リュート「グライフ」で演奏したCD「De Visée ロベール・ド・ヴィゼーのリュート音楽」の佐藤豊彦著ライナノートより。)
佐藤豊彦新譜CD「De Visée ロベール・ド・ヴィゼーのリュート音楽」の公式トレーラーが投稿されているYou Tubeはこちら
佐藤豊彦新譜CD「De Visée ロベール・ド・ヴィゼーのリュート音楽」収録のシャコンヌの録音風景が投稿されているYou Tubeはこちら
佐藤豊彦新譜CD「De Visée ロベール・ド・ヴィゼーのリュート音楽」がリュート愛好家のためのWeb Site「朝歌」で紹介されている。「朝歌」に掲載されているサイトは こちら
佐藤豊彦に関する詳しい情報が掲載されているリュート愛好家のためのWeb Site「朝歌」はこちら
曲 目
ロベール・ド・ヴィゼー Robert de Visée(1660頃-1720以降)
ルイ14世の宮廷リュート奏者
1) 組曲ファ♯短調 Suite in Fa#-mineur
ゆゆしきアルマンドAllemande grave/ 陽気なアルマンドAllemande gay/クーラントCourante/サラバンドCourante/ジグGigue
2) シャコンヌ ソ長調 Chaconne in Sol majeur
3) 組曲レ長調 Suite in Re majeur
アルマンド Allemande/クーラント Coourante/クーラント Courante/ジグGigue
――――――――――休憩――――――――――
ヨハン・ゲオルク・ヴァイヒェンベルガー Johann Georg Weichenberger (1676-1740)
ロベール・ド・ヴィゼーと同じ時代にウィーンで活躍したリュート奏者
4) 組曲レ短調 Suite in d-moll
プレリュードPrélude/アルマンドAllemande/クーラントCourante/サラバンドSarabande/メヌエットMenuet/ジグGigue
5) 組曲ソ長調 Suite in G-Dur
プレリュードPrelude/アルマンドAllemande/クーラントCourante/ブーレBourée/ロンド風メヌエットMenuette en Rondeau/サラバンドSarabande/ジグGigue
■佐保山茶論での演奏によせて
元オランダ王立ハーグ音楽院教授 佐藤豊彦
「佐保山」はかつて大伴家持が住み、世阿弥の能曲にもある由緒ある地です。「佐保山茶論」の敷地内には「知足庵」という素晴らしい茶室もあると伺いました。私も音楽家のために禅茶道「楽禅古流」の指導をしています。能も舞います。いずれも呼吸と精神統一のためのものです。日本では茶室、能楽堂や禅寺などがヨーロッパの古い教会の役割をしてくれます。音楽家、それも古い音楽を演奏する者にとっては欠かせない精神統一の空間です。ロマン派以降の西洋音楽は人間の情操そのものを高度に表現するものですが、古楽(バッハの頃までの音楽)は「神(つまり崇高なる何か)と人間との対話」ですから、その空間が必要なのです。その点で、西洋の古楽と日本の古い伝統精神には共通するものがあります。ヨーロッパであれば簡単に近くの古い教会の、誰も居ない静かな空間で瞑想することが可能です。今日の日本(特に都会)に於ける騒々しく慌しい生活の中でそのような空間と瞬間を見つけるのは容易ではありません。奈良の古い伝統を背負った環境にある「佐保山茶論」で「グライフ」を演奏することになったのは偶然の出会いではないように思います。■佐藤豊彦 プロフィール
リュート界に於ける世界の第1人者として活動する佐藤豊彦は、立教大学在学中に恩師皆川達夫に出会い、啓蒙を受け、1968年にスイス、バーゼルに留学した。バーゼルではオイゲン・ドンボアにリュートを師事、1971年に世界で初めてのバロックリュートLPを録音してデビュー。1973年には29歳でオランダ王立ハーグ音楽院の教授に抜擢され、2005年に退官するまでの32年間、世界各国で活躍する多くの後輩リュート奏者を育てた。1982年のカーネギーホールでのリサイタルは、ニューヨークタイムズに写真入で絶賛を博した。東芝、テレフンケン、フィリップス、チャンネル・クラシックス、Nostalgiaなどのレーベルで数多くのLP、CDを録音し、1980年にオランダでエジソン賞を、同年に日本で文化庁芸術祭賞を、さらに1983年と2008年の2回にわたってレコード・アカデミー賞を受賞した。作曲家としても世界各地の現代音楽祭に参加し、自作品によるCD2枚もある。出版物にも「バロックリュート教則本」、「ヴァイヒェンベルガー・リュート選集」、「歌曲、或いはエア集 第1巻」などがある。2000年には「リュート&アーリーギターソサエティ・ジャパン」(LGS-Japan)の会長に就任し、音楽家のための禅茶道「楽禅古流」を考案し、能楽を学び、伝統的な日本の精神文化との融合を図りながら、現在も世界の第一線で活動している。
佐藤豊彦は近年「リュートの為の禅茶作法」に着目。世界の若手奏者の注目を集めている。
リュート愛好家のためWeb Site「朝歌」に佐藤豊彦に関する詳しい情報がございますのでご覧下さい。
Web Site「朝歌」はこちら
■グライフについて 佐藤豊彦
今回使用するリュート「グライフ」は1610年にローレンツ・グライフによってドイツの古い大学町インゴルシュタットで作られました。楽器の中に貼られたラベルには、ラテン語で「ラウレンティウス・グライフ自身によってインゴルシュタットで1610年に作られた」と印刷されています。さらに二つ目の手書きのラベルから、1673年に11コース(20弦)のフランス式バロックリュートに作り変えられたことが分かります。その状態で今日まで残りました。とは言え、私が入手した1990年には、400年を経た無数のひび割れや膠の剥がれなどで、演奏に用いるには程遠い状態でした。それから4年間掛かってオランダのリュート製作家ニコー・ファン・デア・ヴァールスによって演奏可能な状態に修復されました。それでも、頻繁な旅行に耐える状態とは言えないので、主に録音に使用し、あまりコンサートには持ち出さないようにしています。現存する演奏可能なオリジナル・リュートは世界的でも稀です。
使用する弦は「グライフ」が作られた当時同様、羊の腸を捩って作ったガット弦です。ガット弦は温度や湿度に敏感で扱いが大変なので、今日ではほとんど使われていません。しかし、その特性はナイロンやカーボンなどの合成樹脂では補えません。ナイロンやカーボン弦でもリュートを歌わせることは問題なく出来ますが、語らせることは出来ません。ヨーロッパの古い音楽はその各々の言語に基づいて作られています。従って歌うだけでは二次元の表現で終わってしまいます。語ることが出来れば、それが立体化した三次元の表現になります。これがガット弦の特性です。分かりやすく言えば、合成樹脂の弦は均一な音が出せます。強弱を付けて綺麗に歌うことができますが、平面的(つまり二次元)で退屈です。ガット弦は一音一音が異なります。言わば不均等ですが、それが言葉になって語りかけてくれます。演奏技術も、今日のピアノやギターではどの指も均等な音が出せる訓練をしますが、それと正反対に、リュートでは各指が異なった役割の音を出す訓練をします。
■CD「華麗なる様式/ヴァイヒェンベルガーの音楽」佐藤豊彦(グライフ)
― 選考委員3名全員一致により2008年度【音楽史部門】レコード・アカデミー賞受賞。―
2008年度の音楽史部門では、サバールによる「東洋への道、音楽で辿るザビエルの生涯」、ピーター・フィリップス、ヒリヤード・アンサンブル、平尾雅子、佐藤豊彦といった、企画や内容面で瞠目すべき候補が並んだ。(中略)なんと結論は私をふくめ3名がすべて同一であり、8月号で紹介した佐藤豊彦の2枚を推挙していたのである。3名の悩みまで共通していた。それは佐藤氏の2枚のうちどちらを選ぶかにあった。2点とも、というわけにはゆかないため、最後は濱田氏と私の判断でヴァイヒェンベルガーを選ぶ結果となった。(中略)佐藤氏の、長年に亘る開拓者としての探求の道、演奏の完成度に常に感銘をうけていた筆者は、こうした世界のリュート界に貢献する一枚が日本から生まれる意味を噛みしめていた。
― レコード芸術2009年1月号 「選考経過」受賞ディスク決定まで 美山良夫 ―より抜粋。
■月刊誌「レコード芸術」各月号の特選盤CD中から、3名の選考者によりその年度のレコード・アカデミー賞が決定されます。なお、各月号の特選盤CDは、新譜月評を行なった2人の評者が共に推薦盤としたCDに与えられます。
上記CD「華麗なる様式/ヴァイヒェンベルガーの音楽」が2008年度レコード・アカデミー賞を受賞したのでしたが、このCDと佐藤豊彦がグライフを使用して演奏したもう1枚のCD「ルサージュ・ド・リシェ/リュートの飾り棚」の2枚のCDが2008年に発売され、その2枚が共にレコード芸術2008年8月号の特選盤CDになっていたのでした。この2枚のCDが共に2008年度レコード・アカデミー賞にノミネートされ、珍しいことに同じ演奏者によるこの2枚のCDのどちらを選ぶか審議された結果「華麗なる様式/ヴァイヒェンベルガーの音楽」が2008年度レコード・アカデミー賞に決定したのでした。
同時に発売されたもう1枚のレコード芸術2008年8月号特選盤CD「ルサージュ・ド・リシェ/リュートの飾り棚」佐藤豊彦(リュート)の新譜月評を紹介します。
今月刊行された佐藤豊彦さんによるリュート演奏の、2枚中のもう1枚である。(中略)もうひとつの「華麗なる様式/ヴァイヒェンベルガーの音楽」でも同様だが、各種の舞曲のリズムや緩急の扱いの的確さは佐藤さんならではのものである。しかも間断するリュートの音が一分の隙なく流れあい続きあって、鮮麗なメロディを紡ぎだす。
佐藤さんのリュートは、まさに「踊りつつ歌う」のである。さらに加えて対位法的な立体感というか、複数のメロディが重なりあう綾目の織りあげ方のうまさ。余韻あふれる<バイエルン選定候エレクツィエ夫人に捧げるトンボー>、知情意あわせもつ構成たしかな<パッサカリア>などと、どの箇所を取り出してみても、もはや「円熟」と評すべき境地を拓いておられる。今月のCD2枚は、佐藤さんのみが作りだしえた希有な「世界発録音」である。衷心からの拍手をもって迎え入れたい。
―レコード芸術2008年8月号 新譜月評 皆川達夫 CD「ルサージュ・ド・リシェ/リュートの飾り棚」佐藤豊彦(グライフ)―より抜粋。
■リュートの起源について 佐藤豊彦
日本の古都奈良には日本における文化の成り立ちを感じる雰囲気があります。そして多くの大切な文化遺産があります。その一つである正倉院には琵琶が納められています。この琵琶は中近東或いはインド辺りで作られたものが(海陸の)シルクロードを経由して8世紀に日本へ渡来したものです。
同じ頃に同様の楽器がサラセン人の大移動によって、中近東からヨーロッパのイベリア半島(今のスペイン・ポルトガル)へ持ち込まれます。これはアラビア語でウードと呼ばれました。ウードは木という意味です。英語でも木は「ウッド」ですね。つまり木で作られた楽器です。正倉院の琵琶もアラビア語ではウードです。冠詞が付くとアル・ウードになります。それがスペイン語になってラウードとなり、中世の吟遊詩人たちによってヨーロッパの各地へ広まって行き、イタリア語ではラウト、レウト、リウトと変化して、英語ではリュートになりました。15〜16世紀になると主に宮廷で演奏されるようになり、リュートの宮廷音楽が数多く作られようになりました。ダ・ヴィンチやガリレイもリュートの名手で、その頃になると「教養のあるものは誰でもリュートを弾けなければならない。」とまで言われるようになります。つまり今日のピアノの役割をしたのです。
■佐藤豊彦が自ら考案した茶道流儀「楽禅古流」を語る
楽禅の「楽」は禅でいう常楽我浄の「楽」で、「心に一つの落ち着きがある」という意味です。また、常楽我浄とは、「涅槃」を言い換えたもので、「常」は永久を、「我」は自由自在を、「浄」は心が清らかに澄み切ったことを意味します。つまり安隠ということです。そのような難しいことはさておき、「楽禅古流」は我々凡人が禅を理解するために、心に落ち着きを求める、古い流儀の茶道です。加えて「楽」は音楽の楽でもあります。つまり音楽を聴く、或いは行うことによって日常を忘れ、心に一つの落ち着きも生まれます。さらに古流の古から楽に振り返ると古楽にもなります。古楽も、いわば古い流儀のヨーロッパ音楽です。それを長年専門的に研究・演奏してきた者によって考案された茶道の流儀が「楽禅古流」なのです。
十二世紀半ばから十三世紀後半にかけて禅僧栄西(挿絵)や南浦紹明たちが中国から持ち帰った、仏具を使って始まった禅茶道は、十五世紀に能阿弥によって書院式の茶道の形に大成されました。これは禅、能楽、弓道(当時は弓術)、小笠原流礼法、ひいては造園、書道、墨絵、漢詩、立花などをも統合した武家の総合芸術でした。
その豪快さに始まった武家茶道から、十六世紀の村田珠光、武野紹鴎を経て千利休に至る侘び茶、寂び茶への移行の時代が茶道の最も興味深い歴史であると言えるでしょう。利休は死ぬ時「私が死ねば茶道は廃れる。」という意味のことを言ったそうです。すでに利休の末期、秀吉のような権力者が、黄金の茶室を作らせ、茶道具も権力利用の材料として無意味に高価にしてしまうという、侘び、寂びの心とはまるで反対のことが行われました。利休はそれを痛切に感じていたのでしょう。
その後は徳川幕府の鎖国による国内の天下泰平を反映して、茶道における原点(禅)の厳しさは次第に無くなっていきます。それに代わって、作法を重要視する芸事になっていきます。もちろん、繰り返し洗練された作法はそれなりの美しさを持っていますが、重箱の隅をつつくようなパターン化されたものになりました。これは江戸時代のすべての日本文化(絵画、音楽など)に共通していることでもあります。
昭和以降、茶道は女性向けに行儀作法を教えることがその主目的となり、残念ながら、侘び、寂びの心が薄らいでしまいました。華やかな着物で上品に行われる、極端に言えば、外国人観光客向けの「芸妓のお茶」になってしまった風さえあります。それにはそれなりの美しさと良さがあることは否定できません。これは能と歌舞伎の違いにも似ていると言えます。
こうなったことには大きな歴史的理由もあります。江戸時代後期から流行り始めた煎茶を飲む習慣が、明治時代の開国以降さらに強くなり、煎茶道(葉茶)が抹茶道(粉茶)を圧倒してしまい、抹茶道のどの家元も厳しい生活状況に追いやられてしまいました。今でも食事には(レストランでも無料で)、黙っていても番茶(或いは煎茶)が出てくることを考えると、お分かり頂けるでしょう。その対抗策が昭和の女性を相手にした茶道の大復活運動に繋がっていると言えます。それはある意味では大成功でした。
楽禅古流では、能阿弥の大成した書院式武家茶道を基にして、今の茶道にある良い部分は取り入れ、不合理と思われるものは合理的にして、茶道の心の原点に戻ることを目的としています。同時に数人で行うことも出来ますが、基本的には主客二人で行う禅です。それは心のもてなしとも言えます。今の茶道では女性は着物(和服)を着ますが、「楽禅古流」では弓道などと同様に女性も袴または禅僧の仕事着である作務衣(さむえ)で行うのを基本とします。或いは男女とも平常の洋服でも構いません。なぜなら能の立ち回りの動作が取り入れられていて、着物では出来ないからです。能阿弥の時代にも「裃(かみしも)」、「袈裟(けさ)十(じっ)徳(とく)」など、当時の様々な服装が用いられました。
「楽禅古流」では音楽の場合と同様に、姿勢、呼吸、脱力、そして立ち回りの動作をたいへん重要視します。今日の茶道では一般的に「台子点前」と呼ばれるこの点前はかなり複雑で、スムーズに出来る人でも一回の点前を初めから終りまで行うには20〜30分かかります。その間は他の事を一切考える余地がありません。つまりその間、凡人でも禅でいう「無」に近い精神状態を経験することができるのです。もちろん、訓練された人(禅僧など)であれば「座禅」で「無」になれるようですが、我々凡人にはなかなか出来ないことです。
宇宙は無限に拡大を続けると共に、無限に縮小しています。地球上における毎日の世事を忘れて、たまには宇宙の原点を呼吸してみることも人間にとって大事なことではないでしょうか。中国の唐の時代(八世紀)の禅僧馬祖大師の言う「無事これ貴人」(「日常の雑事に惑わされないで、無心になれる人こそが尊いのである。」の意味。)の気分を味わってみませんか。もちろん音楽家でなくても興味がおありの方は男女を問わず、歓迎します。
2013,02,23, Saturday









