奈良芸術文芸サロン|歴史観光の佐保山茶論

奈良芸術文芸サロン|歴史観光の佐保山茶論
催し情報
 
施設案内
催し情報
午後のヴェルサイユ・クラヴサン絵巻 (2014.4.5&4.6 終了)
主催:佐保山茶論 後援:奈良県・奈良市

〜太陽王ルイ14世からマリー・アントワネットまでの時代〜

フレンチ・チェンバロ 中野振一郎


世界的チェンバロ奏者中野振一郎が、二日連続のコンサートでフランス・クラヴサン音楽の歴史を、その時代を追ってのチェンバロの演奏に軽妙で洒脱な解説を交えて紐解いた。※チェンバロは独語の呼び方で、仏語ではクラヴサンと呼ばれています。




演奏会で使用されたチェンバロは、ウィリアム・ダウドが1976年に製作したフレンチ・チェンバロ(チェンバロ奏者 井幡万友美氏所有)。
「楽器はフレンチタイプ2段鍵盤のブランシェモデルです。1976年に今は亡きドイツの名チェンバリスト、ピヒト・アクセンフェルト女史のためにDowd氏と彼の弟子のNagel氏によって製作されました。女史は生前この楽器での録音を多数されています。CDジャケットのいくつかにはこの楽器が写っています。ちょっと余談ですが・・・楽器メンテナンス時に楽器を解体するのですが、鍵盤を引き出した部分にこの楽器のヒストリーが手書きで書き込まれて行きます。例えば[1967年にアクセンフェルト女史のために製作]とか[○○年にアクセンフェルト女史の依頼によりメンテナンス]とか・・・。」(井幡万友美 談)

     

お客様アンケートよりご感想


●中野氏の演奏は大きな会場で聴いたことがありましたが、弦の振動が伝わるほど間近で大迫力でとても良かったです。前半の重厚な音色から後半の甘くつややかな音色まで堪能させていただきました。桜のトンネルをぬけて茶論で優雅なコンサート。本物のウグイスもとび入りで歌ってくれたのもうれしかったです。

●誘うような言い回し、軽妙なおしゃべり、毒のあるフレーズ、嘘のような本当のような、笑えてくるような、泣けてくるような色々な感情や言葉が聴こえてくる、そういう意味でゴージャスな音楽でした。この時代の音楽は香水のようにその場に香り消えて行くもの、とおっしゃられていましたが、そこがこの時代の音楽の魅力なのでしょう。芸術というよりもっと人間くさいもの、近年大きいホールで聴くことが多くなったコンサートですがこんな間近で、奏者の表情や体の動きや息使いまでわかることはサロンならでは、ですね。楽しかったです。

●後半のあまいやさしい曲には心が落ち着いてなごまされました。中野さんの楽しいお話し、曲についてわかりやすく説明して下さったのが良かった。

●至近距離で親近感が湧きました。マイク・スピーカーなしの本当の「生」が最高でした。建物も情緒があります。

●素晴らしい演奏で、演奏曲全てが良かった。パーフェクト。

●お話しもとても楽しくステキでした。

●緑の中の文字通りサロンでウグイスの声も時折聞こえる中でサロン音楽の典型のチェンバロを間近で聴かせて頂き心地よく楽しませて頂きました。ぜいたくな音楽会と思います。

●演奏者と近く解説も良かった。春のお庭から差す光のもとで聴けて良かった。

●コンサートホールで聴くより音楽の実在感が強く感じられるのが良いです。解説を交えての演奏であったのも良かった。

●中野さんのユニークなお話しの中、笑いがありその時の貴族の様子がとっても解りやすく説明して頂き良かったです。曲の合間にウグイスがチェンバロに合わせたように鳴いていてとっても自然でした。またすてきなこの時間を楽しみにしています。

●奈良で緑の木々に囲まれた自然のサロンに出会えてうれしく思いました。Salonの空間に相応しいしつらえで、これからも音楽のみでなく様々な文化的プログラムも組み入れて下さることを望みます。

●こじんまりしたサロンでの演奏会で素晴らしかった。

●チェンバロ、木管楽器の演奏はこのサロンの空間に似合うものと思える。

●話しも面白く興味はつきない。中野氏の演奏は最高に心にしみてくる。久しぶりにゆったりとした時間が持てた。

●中野さんの魅力が存分に出されたコンサートでした。当時のサロンの様子を再現したような音楽が今後も企画されれば良いと思います。

●このような近くにこんな素敵なサロンがあったことを知り、とてもうれしかったです。著名な演奏家がとても気さくにお話しをされ、間近で演奏を聴けるとは何ともぜいたくな時間と空間でした。ぜひ、さまざまな企画を続けて催して下さいますようお願い申し上げます。



プログラム

4月5日(土)

〈クラヴサン楽派の誕生〉

●L.クープラン(1626〜1661)
パッサカイユ ハ調

●J.H.ダングルベール(1629〜1691)
組曲 ト短調
プレリュード/アルマンド/クーラント/サラバンド/ジーグ

●L.クープラン
組曲 イ短調
フローベルガー氏に倣ったプレリュード/アルマンド/ミニョンヌと呼ばれるクーラント/サラバンド/ピエモンテーズ

〈ポンパドゥール夫人のサロン〉

●J.Ph.ラモー(1683〜1764)
「優しい訴え」ニ短調

●F.クープラン(1668〜1733)
第14オルドル ニ調より
「恋のうぐいす」「おびえる紅ひわ」「シテール島のカリヨン」「ささいなこと」

●A.フォルクレ(1671/72〜1745)
第1組曲 ニ短調より
「ラボルド」「フォルクレ」「ベルモン」「ポルトガルの女」


4月6日(日)

〈ポンパドゥール夫人のサロン〉

●F.クープラン(1668〜1733)
「葦」(第13オルドル ロ短調より)

●F.クープラン
第17オルドル ホ短調
「尊厳、またはフォルクレ」 「小さな風車」 「鐘」 「クーラント」 「バニョレの乳しぼりの少女たち」

●A.フォルクレ(1671/72〜1745)
第5組曲 ハ短調より
「ラモー」 「シルヴァ」 「ジュピター(ゼウス)」

〈革命前夜〉

●J.デュフリ(1715〜1789)
メヌエット ニ調

●J.デュフリ
「アルマンド」 「ドゥ・ブロムブル」 「三美神」…以上、ニ調

●C.B.バルバトル(1724〜1799)
「マルゼルブ」イ長調 「クールテイユ」ハ長調 「シュザンヌ」イ短調



□プロフィール 

中野振一郎 Shin-ichiro Nakano チェンバロ
 京都生まれ。1986年桐朋学園大学音楽学部の演奏学科(古楽器専攻)を卒業。90年に大阪で開催した4回連続の独奏会「ヨーロッパ・チェンバロ音楽の旅」により「大阪文化祭・金賞」等を受賞。翌年にはフランスの「ヴェルサイユ古楽フェスティバル」のクープラン・サイクルに日本代表として参加、ケネス・ギルバートやボブ・ファン・アスペレンら欧米を代表する名手と肩を並べ、「世界の9人のチェンバリスト」の一人に選ばれた。92年、「バークレー古楽フェスティバル」へ最年少の独奏家として招かれる。93年にはロンドンのウィグモア・ホールでデビュー・リサイタル。94年、サイモン・スタンデイジ(Vn)との二重奏を含む3回連続の演奏会「チェンバロ三夜物語」を東京で開催。99年2月のドイツ招聘演奏旅行ではコレギウム・ムジクム・テレマンを率いて見事に聴衆を沸かせ、ソリストとしてだけではなく、オーケストラの音楽を構成するディレクターとしての魅力をアピールした。2003年、ライプツィヒでの「バッハ・フェスティヴァル」に出演し、ソロ演奏会およびコレギウム・ムジクム・テレマンとの共演で高い評価を受けた。2004年のドイツでのリサイタル・ツアーは「“例外”のチェンバリスト」「耳のご馳走」など、地元紙から絶賛された。また、C.P.E.バッハの作品を集めたリサイタルにより「平成16年度文化庁芸術祭・大賞」を受賞。
 CD録音にも積極的で、これまでに日本コロムビア、マイスターミュージック、若林工房などから多数のアルバムをリリース。その多くが高い評価を受けており、2000年発売の「バッハ:ゴルトベルク変奏曲」が「2000年度レコードアカデミー賞(録音部門)」、2009年発売の「女王の祭壇 〜パーセル作品集」が「2009年度レコードアカデミー賞(音楽史部門)」に輝く。日本が世界に誇るチェンバロ奏者としてその地位を不動のものとしている。

中野振一郎公式サイトはこちら

続き▽
運命が、愛が、時が、English Lute Songs (2014.1.26 終了)
主催:佐保山茶論 後援:奈良県・奈良市


CDリリース記念

カウンターテナー 青木洋也  リュート 高本一郎




お客様アンケートよりご感想

●佐保山茶論、初めてお伺いしました。こんな所にコンサート会場??と思いながらたどり着きましたが、窓の外の風景もとてもすてきで、心地良いスペースだと思いました。客席の空気が何やらとてもアットホームな感じでほっとしました。

●青木さんの一声を聴くなり体中の血がさわいだようにずうっーと感動の時間だった。高本さんのリュートの音色が季節にとても合って今日は久しぶりの素晴らしいひと時を過ごさせて頂きありがとうございました。

●カウンターテナーは初めて聴かせていただきました。ソプラノに比べ力強さを感じました。男性、女性を超越した清々しさを感じます。ダウランドが明るい人だったと聞き、なんとなく彼がエリザベス1世に拒絶された理由がわかるような気がします。彼の卒直さが彼女にはまぶしすぎたのかも?彼女が採用したロセッターは彼女の弱さをよくつかんでいたのでしょうか?(今回の演奏会で新たに設置した)ついたてが(音響に)いい効果出していました。いつもありがとうございます。

●歌手、リュート奏者と同じステージで身近で感動しました。大変幸せでした。

●気持ちのいいコンサートでした。

●カウンターテナーの曲ははじめてでしたが大変良かったと思います。リュートについても多彩な音を奏で、さすがです。

●古さも時代の違いも感じさせない曲でよかった。どこか教会音楽のような妙なる歌声が素晴らしかったです。柔らかくてソプラノよりずっといい!生の声、息づかいが聴こえるのもいいです。本当に心地良い歌声。

●リュートソングの伴奏としてのリュートは歌に沿ってやさしく良かった。もっとリュートを聴きたいと思っていたところ、ソロ演奏があって嬉しかった。優しくてキッパリした音色が素晴らしい。カウンターテナーのCDは何枚か持っているが、生で聴くのは初めてで、柔らかい声で、時々クラリネットのリードがふるえて鳴っているようにも聞こえた。パーセルの曲は多彩な表現で素晴らしい。

●素晴らしい音色に感動しました。二人のコンビネーションもとてもよかったです。演奏を聴きに来られる人々もだんだん若い人が多くなってきましたね!!皆さんインターネットを見て来られるのでしょうか?次回を楽しみにしています。

●風邪気味の鼻からのど、胸にかけてすっきりとさわやかに風邪が直るようだった。両氏のファンです。

●すごく迫力がありよかったです。ダウランド大好きです。影のあるところがドラマチックですね。リュートは1日中聴いていられます。

●ヘンリー・パーセルの曲になってから歌がとても素晴らしく思いました。この作曲家の名を知り今後の楽しみとなました。この狭い空間でカウンターテナーを聴くという贅沢。本当に感動しました。お二人の事、記憶に留めておきたく思います。

●コンサートを楽しむという事をありがたく思いつつ参加させてもらっています。ほんの少しでも心がなごやかになる時を過ごさせてもらえ感謝しています。こういった気楽に音楽を楽しむという習慣が(特に若い方々に)根付いてくれるといいな、と思います。


Program


John Dowland ジョン・ダウランド (1563-1626)
1 Time stands still 時が止まる
2 Farewell unkind farewell さようなら、冷酷なひとよ
3 Awake, sweet love, thou art return’d 目覚めよ 甘い愛よ
4 Come agein: sweet love doth now invite おいで、もう一度
5 Go crystal tears 流れよ、水晶のように澄んだ涙よ
6 What if I never speed? うまくいかなかったら どうしよう
7 Can she excuse my wrongs? 彼女はどう弁解する気だ

Philip Rosseter フィリップ・ロセッター (1567-1623)
8 When Laura smiles ローラが微笑むとき

Anon:Kemp's Jig ケンプ氏のジグ/作者不詳     
Anon:Watkin's Ale ワトキン氏のエール/作者不詳  

John Bartlet ジョン・バートレット (1606-10 頃活躍)
9 What thing is love? 恋ってどんなもの?

Thomas Campion トマス・キャンピオン(1567-1620)
10 Never weather-beaten sail どんな嵐にあった舟も

pause

Henry Purcell ヘンリー・パーセル (1659-1695)
11 Musick for a while ひとときの音楽は
12 'Tis Nature’s voice これは、自然の女神の声
13 Be welcome then, great Sir 偉大なるお方よ、お受けください
14 I attempt from Love’s sickness わたしは恋の病から逃れようと

Anon:Green Sleeves グリーンスリーヴス/作者不詳  
Anon:Lilliburlero リリーブレロ/作者不詳     

Henry Purcell ヘンリー・パーセル
15 By beauteous softness 見事な寛容さで
16 Now that the sun hath veil’d his light 夕べの讃歌「いまや太陽は自らの光にとばりを降ろす」


プロフィール

青木洋也 Hiroya Aoki カウンターテナー東京藝術大学大学院修士課程古楽科修了。エリザベト音楽大学大学院宗教音楽学専攻修了。バッハ・コレギウム・ジャパンを始めとする古楽アンサンブルや演奏会ソリストとして国内外の公演・録音に参加する他、アイルランド・ダブリンやドイツ・ライプツィヒ等でアルトソロをつとめるなど活躍の場を広げている。2012 年10月にはグルックの歌劇「オルフエウス」(森鴎外訳)文京シビックホールのオルフエウス役で出演、絶賛される。2011 年ソロCD「大いなる神秘」をレグルスよりリリース。合唱指揮の分野でも高い評価を得ている。「ヴォーカル・アンサンブル カペラ」「アンサンブル小瑠璃」メンバー。
青木洋也HPはこちら


5歳からギターをはじめ『読売ギターコンクール銀賞』など数々のコンクールに入賞。 相愛大学音楽学部卒業後、フランス国立ストラスブール音楽院でリュートを学ぶ。ルーヴル美術館でのソロ公演、フランスのTV・ラジオ出演、CM 音楽製作、多数のCD 録音、演劇・能狂言・落語ほか他ジャンルとのコラボなど多彩な演奏活動を展開。「日本テレマン協会」ソリスト、大阪音楽大学付属音楽院講師。 自作曲による新譜『シャコンヌ・オリエンターレ』がANA国際線の機内オーディオに選ばれる。
ブログ『リュートの時間』はこちら

う た の は ひ と つ  (2013.11.30 終了)
主催:佐保山茶論 後援:奈良県・奈良市


〜日本の心で編みなおした、世界の愛唱歌〜

おとくゆる 丸谷晶子(歌)& 岡崎泰正(ギター)


古より洋の東西を問わず、言葉にならない、文字では伝わらない、想いとメッセージを「節」に乗せ、後世に伝える努力をしてきた。それらは様々な形で現代に、音楽にも継承されている。当演奏会は、世界の伝承歌、古き良き太古の文化を静かに伝えるケルト文明圏の伝承歌を中心に、明治期に日本に多く導入されたアイルランド・イングランド・スコットランドの愛唱歌、そして明治期、日本で活躍した小泉八雲こと、ラフカディオ・ハーンにまつわる話や歌、また変わりゆく日本の情景を詞に刻み込んだ「金子みすゞ」の朗読など、盛りだくさんの内容でした。



お客様の声(アンケートより)

●ホールに合った歌声、ギターとマッチした歌声!素晴らしかったです。

●小泉八雲、小泉八雲直系の曾孫小泉凡さん、アイルランドのお話しが興味深かったです。言葉と音を大切にされていることが伝わって来ました。岡崎さんの繊細なギターと丸谷さんの美しい声がとても印象的でした。

●久しぶりのおとくゆるの演奏、とても素敵です。美しいお庭、とても音楽と一体となって一つの美しい空間となっているように思いました。秋の一時、心に残る演奏会でした。メロディーだけれど絵画をみているようです。とても素敵なコンサートでした。

●素直な声が心地よかったです。ギターの即興的な演奏が独特で又すばらしい。

●ギターとハープの相性がこれだけ良いとは思っていなかった。声とギターだけなのにとても響く音楽だと感じた。丸谷さんの高音を聴くたびに鳥肌が立ちました。詞の朗読も意味が伝わってくる表現だった。

●色んな世界を見せていただきました。ありがとうございます。丸谷さんもクラシックのコンサートとはまた違った色んな面を表現されました。いたずらっ子のようなかわいい少女、どろどろした情念の世界、すべてを包み込むような女神様、いろんなものを持っていらっしゃってそれを歌で表現されるのがすばらしいです。岡崎さんのギターも透明感があって繊細な音色ですてきでした。「おとくゆる」さん、これからもどんどん世界が広がっていくことを楽しみにしています。2作目のCDもそろそろどうですか?

●ことはうた金子みすずの詩とてもきれいな声で特にP.~P.P.はきれいでした。二人の息もあってすばらしいコンサートでした。丸谷さんとギターの岡崎さんのコンビネーションが合い、ハープとギターに歌があり、楽しい一時が過ごせたことに感謝しています。ありがとうございました。

●ギターとハープとソプラノという取り合わせの良さ。部屋から見えるモミジの借景も晩秋の想いを伝えて良かった。

●大変良い演奏会でした。考えさせるといいますか、どういう意味?と思わせる歌が多く、例えば「縫い目ひとつない白いシャツ」とか「海水と海岸の間に1エーカーの土地」なんてあるの?とか、奥が深過ぎます。

●心があらわれるような演奏会でした。

●丸谷さんのすばらしい声が心に染みました。

●丸谷さんの素晴らしい、心地よい歌声、岡崎さんの気持ち良いギター、いつもすてきで心いやされます。ありがとうございます。

●最初に、岡崎さんがギターの調弦を始めた時、ギターの音の一つ一つの余韻がとても甘く感じました。お部屋の響きがとても素晴らしかったです。その後はもう、楽しくて。丸谷さんの歌声は柔らかで、ピュアで。そして、今日の歌声は芯の強さ、こころの強さをも感じました。雪おんな:恐ろしいというより、悲しげな語り歌のように心に入ってきました。ゆめのたまご:この歌も素晴らしく、とてもピュアで。始まりからアンコールのグリーンスリーブスまで、とても心地好いときを過ごせました。ほんとうにありがとうございました。


プログラム

Part.1
1.Pampanitos verdes, hojas de limon / Villancico
緑のぶどうの小さい葉、レモンの木の葉 / ビリャンシーコ
2.Scarborough fair / Anon, Simon & Garfunkel
スカーバラ フェア / 作者不詳、サイモン&ガーファンクル
3.O'Carolan's Medley
オキャロランメドレー
4.埴生の宿 / ビショップ
5.雪女 / 作詞作曲:岡崎泰正 アレンジ:おとくゆる

Part.2
1.Yume no Tamago
ゆめのたまご
2.ことはうた〜金子みすゞの詩によせて〜 / 作曲:岡崎泰正  アレンジ:おとくゆる
3.There is no rose / John Jouberet c. 1420
このように美しい薔薇はない / ジョン ジュベール


おとくゆるプロフィール
全く異なる分野でそれぞれにキャリアを築いてきた、丸谷晶子、岡崎泰正。
アイルランド、イギリス、スコットランド等で長い歴史を生き抜いた「ケルト」の伝承歌を深く掘り下げながら、歌に息づく「心の動き」を二人の感性で捉え矛盾のない音作りを目指す。「こうあるべきだ」よりも「こうしたい」という共通した志向性から新しい可能性を求めスタートした「おとくゆる」は、2008年12月結成以来、精力的にレパートリーを深めながら定期的に、既成のスタイルにとらわれないユニークなコンサート活動を行っている。また透明感のあるサウンドがマスメディアにも注目を浴び始めている。2010年、1st Album「やわらかな風に吹かれて」のリリースを皮切りに全国各地でのコンサート、イベントなどへの出演、好評を得る。
おとくゆるHPはこちら


丸谷晶子(歌)  
ロンドンのトリニティ音楽院大学院にて古楽声楽専攻、演奏家ディプロマを得て修了。エラキドニーコンクール2位。E・カークビー、E・タブ各女史に師事。中世・ルネサンス・バロック音楽と共にイギリス・アイルランドの伝承音楽にも取り組み、絵画・アロマ・朗読等とのコラボレーション、イギリスを音楽と視覚で巡るレクチャーコンサートも行う。「おとくゆる」ではピュアな声をコンセプトとし、新しいアプローチで活動している。
丸谷晶子HPはこちら


岡崎泰正(ギター)
13歳よりクラシックギターを小野剛蔵氏に師事し、同時に様々なギター奏法、音楽理論、アレンジなどを独力で習得。17歳で読売ギターコンクール高校生の部『銀賞』を受賞、19歳で同コンクール大学生の部『銅賞』受賞。自身をカテゴライズせず音楽性に幅を持たせ、シンガーソングライター、サポートギタリストとして、また様々なフィールドへの楽曲提供、演劇とのコラボレーション等を実現してきた。

Baroque violin & Lute DUO  ( 2013.10.26 終了)
主催:佐保山茶論 後援:奈良県・奈良市



バロック・ヴァイオリンとリュートのデュオで綴る
華麗なるイタリア・バロック音楽


伊左治道生の弾くバロック・ヴァイオリンの音色は軽やかで美しい。そして情熱的に音楽を語る。佐野健二の弾く繊細で雄弁なリュートとのデュオは華麗なるイタリア・バロック音楽の真髄を響かせてくれた。

伊左治道生(バロック・ヴァイオリン)、佐野健二(アーチリュート)





お客様の声

●ヴァイオリンが製作され普及し始めた初期バロック時代に、既にヴァイオリンの高い技巧を要求するような曲が書かれたことに驚きました (例えば、フォンターナ作曲 : ヴァイオリンソナタ第2番)。バロックヴァイオリンの重音奏法はモダン楽器に比べ柔らかくて聴きやすく、(勿論、奏者の伊左治氏の音楽性・技術の素晴らしさは当然ですが)モダン楽器では出せない音色だと感じました。佐野氏の弾くリュートの低音部の存在感と装飾音的な高音部の美しさが絶妙で、また、リュートとヴァイオリンとの相性もすごく良いと思いました。ドイツバロックやフランスバロックのヴァイオリン曲も、この楽器の組み合わせで聴いてみたいと思いました。

●年代別の楽曲演奏で音楽の変遷がわかりやすく、これほど身近に素晴らしい演奏を聴けて幸せです。楽しい時間をありがとうございました。

●古楽器には興味があったので大変良かったです。バロックバイオリンの音色の豊かさ、やわらかさには改めて驚きました。またリュートの生演奏は初めてでしたがあの楽器を好きになりました。

●本日は、心地よいひと時をすごさせて頂きありがとうございました。初めて聞く、アーチリュートの響きに感動いたしました、ヴァイオリンとの調和がとても印象的でした。窓の外の雨音さえも調和されたような幻想的な音色に癒されました。何時もの事ですが、佐保山サロンは、町の中とは思えない雰囲気に時を忘れてしまいます。これかも、楽しみにしております。

●とても興味深い演奏会でした。音の響きが前期バロックと後期バロックとでは変わっていくことがすごく良く分かったのが新鮮でした。ご両人の楽器の解説もすごく分かりやすかったです。

●憂いを含んだメロディと、どこか儚いヴァイオリンとリュートの音色に、大変心惹かれました。若いころに訪れたヨーロッパの風景を思い出しました。今回のような狭く親密な空間で聴いた事で、より深く心に響いたように思います。

●バロックヴァイオリンとリュートの大変しなやかで柔らかな音色に感動しました

●素晴らしい演奏会でした。佐野さんのリュートは以前佐保山茶論で2回聴きました。佐野さんのリュートの演奏には知性を感じさせてくれます。伊左治さんのヴァイオリンは今回初めて聴きました。伊左治さんの奏でるヴァイオリンの穏やかでソフトな音色に魅惑されました。その音色と同様のお人柄の伊左治さんに大変親しみを感じました。お二人のDUOをまた聴きたいです。

●素晴らしい演奏会をありがとうございました。伊左治さんの軽やかながら艶っぽいヴァイオリンの音色に佐野さんの優しいリュートの音色が絡み合って感情豊かなイタリアン・バロックを堪能いたしました。また佐保山茶論は古楽器の魅力に触れるのにぴったりの会場だと思います。ヴァイオリンの弓が弦に当たるときの緊張感まで伝わってくるようでした。これからも素敵な古楽の演奏会を楽しみにしております。

●いにしえの薫りゆたかな地で、バロック音楽を聴くという贅沢な時間を過ごせました。バロックヴァイオリンの暖かい音色に魅せられていますが、何故そういう音がでるのかとか、この時代の演奏者と聴衆の楽しい関係から生まれる曲(イタリヤでは)のお話を伺っていると、ますますバロック音楽に魅力を感じもっと知りたいと思いました。アーチリュートは初めてみたと思いますが、ギターにもにているし、ハープにも似ている深みのある音色だなと感じました。これからも、楽しい音楽会を期待しています。今後ともよろしくおねがいします。


     
プログラム

Dario Castello (c.1590 – c.1630) / Sonata seconda, libro secondo
ダリオ・カステッロ / ソナタ第2番 第2巻より


Giovanni Battista Fontana (c.1571 – c.1630) / Sonata seconda violino solo
ジョヴァンニ・バッティスタ・フォンタナ / ヴァイオリンソナタ第2番


Giovanni Girolamo Kapsberger (c.1580-1651) / Toccata No.3 & 5(※)
ジョンバンニ・ジロラモ・カプスベルガー / トッカータ No.3 & 5


Giovanni Bonaventura Viviani (1638 – c.1692) / Sonata prima
ジョヴァンニ・ボナヴェントゥーラ・ヴィヴィアーニ / ソナタ1番


                 休 憩


Antonio Lucio Vivaldi ( 1678 – 1741) / Sonata no.3 op.2 in re minore
アントニオ・ルーチョ・ヴィヴァルディ / ソナタ3番 作品2 ニ短調
Preludio (andante) - Corrente (allegro) - Adagio - Giga (allegro)


Girolamo Frescobaldi (1583-1643) / Ario con Variazioni detta "La Frescobalda(※)
ジロラモ・フレスコバルディ / アリアと変奏「ラ・フレスコバルダ」


Giuseppe Tartini (1692 - 1770) / Sonata no.12 in Sol maggiore
ジュゼッペ・タルティーニ / ソナタ12番
Aria del Tasso - Grave, "il tormento di quest'anima" -Canzone veneziana -Allegretto - Tema con variazioni

(※)・・・リュート独奏


□プロフィール

伊左治道生 Michio Isaji /バロック・ヴァイオリン
桐朋女子高等学校音楽科(共学)、桐朋学園大学演奏学科ヴァイオリン専攻卒業。デンハーグ王立音楽院、ミラノ市立音楽院に在籍し、2004年に東京芸術大学大学院古楽科修了。宗倫安、小林健次、磯野順子、宗倫匡、若松夏美、エンリコ・ガッティの各氏に師事。 平成17年度文化庁新進芸術家海外留学生として、渡伊。イタリアにて古楽団体Accordone、I barocchisti、Harmonices Mundi、La divina armonia 、Il canto di Orfeo、Modo Antiquo、La magnifica comunita、Le musiche nove 等で演奏、録音活動に参加している。日本では2005年、目白バ・ロック音楽祭にて「バロックヴァイオリン・リサイタル」を開催。2010年よりイタリアから大阪に本拠地を移し、演奏活動と後進への指導をおこなっている。古楽器による室内楽演会シリーズ「amici musicali」、バロック・ヴァイオリンリサイタルシリーズ「il violino magico」を主催し、好評を博している。渡邊順生率いるザ・バロックバンドでは、第42回サントリー音楽受賞記念コンサートなどでコンサートマスターを務める。
伊左治道生HPはこちら


佐野健二 Kenji Sano/アーチリュート
英国・ギルドホール演劇音楽院首席卒業。ギターを岡本一郎、H.クワイン、B.オー、J.ブリームの各氏、リュートをA.ルーリー、N.ノース、J.リンドベルイの各氏に師事。演奏活動に対し、「ロンドン芸術協会選出1978年度新人音楽家」「大阪文化祭賞」等、多数の賞を受ける。現在、ルネサンス、バロック期の撥弦楽器を中心に、独奏・伴奏・通奏低音奏者として演奏、録音活動を行っているが、 そのレパートリーは民族音楽より現代音楽にまで及んでいる。2007年、リュート音楽に特化したEMCluteRecordsレーベルを設立、自ら演奏、録音編集、ジャケットデザインを総合的に行い、発売されたCDは専門音楽誌において優秀録音盤、推薦盤等として評価されている。相愛大学非常勤講師。アーリーミュージックカンパニー主宰。
アーリーミュージックカンパニーHPはこちら

琵琶・弾き語り 田原順子  (2013.9.1 終了)
主催:佐保山茶論 後援:奈良県・奈良市


共演 田原順子の琵琶仲間4人
〜初秋 琵琶の調べ〜

創作語り物や現代音楽を演奏し、現代人の感覚にあった琵琶音楽を模索し続ける琵琶奏者田原順子の筑前琵琶弾き語りと琵琶仲間4人による琵琶合奏(琵琶二重奏・四重奏)。



お客様の感想(アンケートより)

●琵琶と語りが絶妙で素晴らしかった。お部屋からの眺め、緑が目にまぶしく耳には素晴らしい音、楽しいひとときでした。ありがとうございました。田原さんの演奏はとても良かった!!

●演奏家の方の間近で息使いを感じながら聴かせて頂けるのがとても楽しいです。万葉の薫りただようお庭が見えるのも心安らぎます。様々な民族音楽や伝統音楽をまたこちらで味わいたく存じます。

●日頃の基礎練習がにじみ出ていた。百戦錬磨の琵琶と語りが気持ち良い。

●琵琶の音は本当になごみます。4人での女性の演奏は息がぴったりですごく日頃の練習が分かります。お着物もすてきで私にとって別世界のひとときを過ごさせて頂きました。

●琵琶は聴く機会があまりないので嬉しかったです。

●琵琶の生演奏を聴くのは初めてでした。近くで聴けたのが何より良かったです。琵琶の音に魅了されました!!

●琵琶の澄んだ音はすばらしいかった。

●すばらしい演奏技術でした。平曲琵琶は何度か聴いていますが、平家物語を文学として目から受けいれている私などにとっては音で語られたものを耳から受け止めるのは常に目からうろこの新しい発見、新たな感動を得ます。ありがたいことです。以前に佐保山茶論で薩摩琵琶の関川鶴祐さんの那須与一を聴いた時は射損じたらの安堵感を強く感じました。今回はしてやったりの与一の誇らしい気持ち、その場の人々の感動を強く感じました。

●すばらしい演奏ありがとうございました。弾き語り、すばらしい声、音色に感動しました。やはり音楽は心をいやし、何もかも忘れ楽しいひとときを過ごせたことに時間の許す限り出席させて頂きます。

●静かな環境の中で、日常から離れて古代のあり様に思いをいたすことが出来た。

●「熊谷と敦盛」は歌舞伎義太夫でも何度か見聞きする演題なので理解しやすかった。琵琶の独奏は聴いたことがあるが四重奏は驚きでした。すばらしい!!

●田原さんの魅力が最後の曲「玉取り」でやっと感じることが出来ました。マイクなしの声の素晴らしさを知りました。滅多に聴けない演奏を聴かせていただきありがとうございました。田原さんの声には惚れ惚れ致しました。四人の演奏は弦楽四重奏を聴いているように感じました。

●音が深く、声も朗々ととてもステキでした。四重奏では町のにぎやかさ伝わってくるようです。琵琶の響きがこれ程劇的で物語り性のあるものとは思いませんでした。大いなる驚きでした。

●琵琶の興味深い音色と語りの魅力に心にしみるひとときでした。

●「玉取り」の迫力ある演奏に感銘を受けました。曲も素晴らしかったです!!益々のご活躍お祈りします。雰囲気の素晴らしい会場で良い演奏ありがとうございました。

●「熊谷と敦盛」の田原さんの語りで無常感が溢れている直実が仏弟子になった心を想った。「玉取り」は藤裔会の会員として興味深く聴きました。

●琵琶といえば平家物語と思っていましたが、昨日の演奏会の「ひばり」での中将姫の美しい心、そして本日の演奏会の「玉取り」での子の親への思い、子を思う親が西方浄土に向かう所で目が潤みました。

●ゆっくりと琵琶の演奏を聴く機会は初めてでしたが幽玄の世界ですばらしいひとときでした。

●普段接することの少ない琵琶という楽器に日本芸術の奥深さを感じました。音量は決して豊かとはいえませんが、撥の使い方や微妙な音程の変化に日本人の細やかな心の襞を感じることができました。まさに茶論の空間に相応しい楽器で、またいつの日か佐保山茶論で琵琶の音に耳を傾ける時が来るのを楽しみにしております。



演奏曲目  

【伝統的語り物】
「熊谷と敦盛」平家物語巻第九「敦盛」より  琵琶弾き語り 田原順子
 ※演奏時間 約30分
【現代の音楽】
「跏薩(かざつ)三部作」(琵琶独奏+琵琶二重奏+琵琶四重奏)
       「河周(かしゅう)」琵琶独奏 田原順子
       「葩弥(ぱみ)」琵琶二重奏 田原順子の琵琶仲間4人
       「塔厘(とうりん)」琵琶四重奏 田原順子の琵琶仲間4人 
 ※演奏時間 約25分

【田原順子オリジナル】
 「玉取り」 琵琶弾き語り 田原順子 
  ※演奏時間 約30分


◇演奏者プロフィール

田原順子(たはら じゅんこ)
小さなホールで客と語り合いながらのコンサートを好んで続ける琵琶奏者。「平家物語」を代表とする伝統的な語り物は勿論、多くの創作語り物や現代音楽を演奏し、現代人の感覚にあった琵琶音楽を模索し続けている。故・山田美喜子、故・山崎旭萃(人間国宝)両師のもとで筑前琵琶を習得。日本音楽集団団員として国内だけでなく世界各国での演奏活動に参加。1982年、琵琶楽コンクール第一位。文部大臣奨励賞、日本放送協会会長賞、等受賞。日本音楽集団団員として1979年「音楽之友社賞・レミーマタン音楽賞」、1988年「松尾芸能賞」、1990年「モービル音楽賞」を受賞。趣味の仏像巡りで『国宝への旅』(NHK)、自身の生き方を語る「生きる」(TBS)、邦楽楽器紹介番組「いろはに邦楽」(NHK)、などにテレビ出演。2005年2月『宮尾本・平家物語』全8章CDリリース(キングレコード)。2002年フランス人現代音楽作曲家ローラン・マルタン氏の新曲《一所懸命》を日本国内で初演、7都市8カ所で演奏(2台の四分音ギターと日本の伝統的発声によるコラボレーション)。2004年12月、2006年2月フランス公演。2007年2〜3月、ミュージック・フロム・ジャパンの招聘でアメリカ公演。ニューヨークの『マーキン・コンサート・ホール』でリサイタルを行う。2010年、田原順子の定期コンサートにてサミュエル・ベケットの「What is the Word」弾き語り。2011年、『セガ』のiPhon、iPad用ゲーム『源平大戦絵巻』の音楽として琵琶弾き語り録音。6月発売。2012年、同じく『セガ』のiPhon、iPad用ゲーム『百鬼大戦絵巻』(『源平大戦絵巻』の続編)に自作の琵琶曲を録音。そのエンディングテーマ曲『DORORO DERODERO ON DORORO』(作曲・演奏‥怒髪天)には琵琶パート作曲および演奏協力。現在ゲーム、CD共に発売中。2013年5月、フランス公演。パリにてマルタン氏の《一所懸命》レコーディング。
田原順子HPはこちら


竹本彩乃
岩手県遠野市出身。2008年より田原順子氏に師事、琵琶を始める。『現代邦楽・星組合奏団』所属。二十絃箏、琵琶を担当。《糸遊び 〜琵琶と語りと〜》その六(2011年11月)にて、師匠 田原順子作曲 初演 宮澤賢治作品「やまなし」に助演。語り部分担当。

伊藤純子
神奈川県横浜市出身。2008年より筑前琵琶を田原順子氏に師事。古典・現代曲を習う。今年は創作にもチャレンジ。『現代邦楽・星組合奏団』所属。琵琶と横笛を担当。

ナカムラユウコ
熊本県出身。2009年 筑前琵琶を始める。田原順子氏に師事。現在は古典の他に現代曲、創作弾き語り、民謡などでライブハウスを中心に活動中。

樋口真子
東京都青梅市出身。武蔵野音楽大学 作曲科 卒業。2011年より琵琶を田原順子氏に師事。『現代邦楽・星組合奏団』団員。


◇演奏曲解説

●「熊谷と敦盛」 平家物語 巻第九 「敦盛」より    
  作詞 犬塚通草   作曲  初世 橘 旭宗 
元暦元年(1184)一の谷の合戦で源氏軍の勇将・熊谷直実は平敦盛に出会い、勝負の末にこれを組み伏せた。そして敦盛の顔をみれば我が子・直家と同じ年頃の若武者であった。この少年一人討ったところで戦の行方に影響があるわけはない、ましてやこの少年の死を知ったら父親の嘆きはいかばかりだろうかと思って、直実は敦盛を助けようとした。しかし時すでに遅く、背後には源氏の武士たちが迫っており、直実が助けたとしても敦盛の命はない。直実は涙をふるって敦盛の首を掻き切った。直実はこのような若武者をも殺さねばならない武士の宿命を感じ、この後出家をした。


●「跏薩 三部作」      作曲 角篤紀

「河周」(かしゅう)琵琶独奏
跏薩(かざつ)は前11世紀頃、その西方の町「河周」を中心に交易で栄えた都市。荒涼とした大地に根付いた人々の記憶は時の彼方であり、今となっては、語り部が琵琶にのせて語る物語に偲ぶほかはない。この曲は河周の町の人々から見た跏薩の栄枯盛衰である。主題と五つの変奏で構成されている。 

「葩弥」(ぱみ) 琵琶二重奏
跏薩の商人たちは、他の都市間との軋轢の解決を、誠実な交易という手段で切り拓き、人々から尊敬を込めて「葩弥」と呼ばれた。それゆえ他の都市では、pamiという言葉が誠実を意味する語として使われたという。曲は三つの部分に分かれており、交易で人々を守った商人たちの日々を綴っている。

「塔厘」(とうりん)琵琶四重奏
跏薩にある大伽藍「塔厘」は、多様な民族を有するこの都市の心の拠り所であった。都市を維持するすべての取り決めは、ここに集う人々によってのみ定められ、為政者としての国王も皇帝も聖職者も持たなかったと伝えられている。曲は、春を迎えた大伽藍を取り巻く、賑やかな市場と祭の風景を生き生きと映している。


●「玉取り」原作 中 勘助
「鳥の物語…《鵜の話》」 台本 田原順子 作曲 田原順子
「鳥の物語」とは12種の鳥のそれぞれの代表が大汗の前で自分たちの一族にまつわる話を申し上げる、という構成で 12の鳥の物語が書かれているという作品。《鵜の話》はその9作目。讃州・志度の浦。現在の香川県、高松よりやや東の志度町。ここに伝わる海女の玉取り伝説を題材として書かれた物語。伝説とは少し違う筋立てであるが、格調の高い愛の物語となっている。 
天智天皇の頃、藤原鎌足の娘が唐の高宗の后として嫁いでいた。鎌足が死んで後、氏寺である奈良の興福寺へ父の供養の為に「面向不背の玉」「花原磬」「四浜石」の三つの宝物を送った。それら三種の宝物を乗せた舟が瀬戸内の海を通過中、突然の嵐に遭遇し、竜神に「面向不背の玉」を奪われてしまう。鎌足の嗣子藤原不比等は奪われた玉を取り戻そうと、身分を隠し、志度の浦へやってきた。ここで海女の一人と配偶の契りを結び、一子房前をもうけた。不比等はある日、玉の行方を探しに来た自分の素性と目的を妻に話すと、妻は「私が取り返してきましょう。その代わりこの房前を藤原家の跡取りにして下さい」と頼み、竜宮へ潜って行った。命綱を付けた海女からの合図で不比等が急いで綱を手繰ると、海女は哀れにも手足を竜神に食いちぎられながらも縦横に切った乳房の中に奪い取った玉を隠していた。海女は不比等に抱かれて息をひきとり、取り返した玉は興福寺へ納められた。後に房前は藤原家を継ぎ大臣に出世したが、ある日父から母である海女の事をきき、行基をつれて志度寺を訪れ、千基の石塔を建立し、堂塔を大きく建て替え、さらに法華八講を修して亡き母を弔ったという。
 志度の浦で取り返した玉は、現在、聖武天皇奉納として、琵琶湖、竹分島宝厳寺に国の重要文化財として保存されている。


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